La dernière scène 【7】




 夏休みが終わり2学期になって2ヵ月も経った頃には、尻尾から胴体に近い辺りに手を付けはじめることができるようになっていた。その分、相手の動きにも慎重さが伺えるようになってきていたが。
 ともかくも白馬が思っていたよりも随分と早い展開だ。
 おそらく快斗自身が、口にしていたよりも実際にはかなりの部分を早い段階で突き止めていたのだろう。ただそれを実行に移せなかっただけで。それが白馬という同志を得たことにより、ICPOに繋がりを取ることができたことがここに来て実になっているということだろうか。
「黒羽君、以前君が言っていたアメリカの別件というのは片付いたのかい?」
 ある日、かねてから気になっていたことを白馬は快斗に問うた。
「え? ああ、あれね。とりあえずは、大丈夫、かな。問題なかったみたいだから。その後のことはあいつ自身がどうにかするだろうし」
「あいつ?」
「白馬が気にする相手じゃないよ。こっちのこととは関係ないしさ」
 そう言って、快斗は詳しいことは話さずにこの件は終わり、としてしまう。
 実際、こちらの組織戦と関わるようなことなら快斗はもう少し詳しく話をするだろう。それが無いということは、本当にこちらが相手にしている組織とは関わりのないことなのだと、白馬は己を納得させるしかなかった。
「ところで、宝石(いし)はどうなってる?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「聞いてないね」
「もうだいぶ前に見つけた。だからおまえに話してICPOと接触したんだ」
「じゃあ、最近の動きは……」
「フェイク。まだ見つかってないと思わせるためのね」
 快斗は軽くウィンクしながら微笑(わら)って答えた。
「それで宝石は今どうしているんだい?」
「餅は餅屋、ってことで紅子に任せた」
「小泉さんに? どうして小泉さんがここで出てくるのかな?」
「あれってさ、ホントかどうか知らないけど、インクルージョンに不老不死を与える力があると言われてんだよな。そうなると、赤の魔女殿に処分頼むのが一番確実かな、とね」
 白馬は快斗の話に呆気にとられた。
 不老不死の話も小泉紅子が魔女だという話も初耳で、とても信じられるようなものではない。
「信じられない、って顔してるな」
「それはそうだろう、不老不死にしろ、魔女にしろ、そんなものが本当に存在するなんて」
「不老不死の話は俺も分からないけど、とりあえず、仮に本当だとしたら下手に素人が手を出すより専門家に任せた方が間違いないだろ? 少なくとも紅子が魔女なのは事実、俺自身が確認してるから」
「……何をどう信じたらいいのやら……」
 言いながら、白馬は右手を額に当てた。話の整理がつかない、といったところだろうか。
「とりあえず、組織の件は倒すことだけ考えて、宝石の件はおまえは考えなくていいよ」
 快斗は軽く笑いながら、なんでもないことのように白馬に告げた。





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