La dernière scène 【3】




 二人は広場を抜けて住宅街へ入った。その中のアパルトメントの一つにアネットの姉夫婦の家があった。
 アネットは“Katsuki”をリビングルームへ案内すると、飲み物を用意するから気楽にしてくれと言って、隣のキッチンへと入っていった。
 暫く待っていると、アネットはトレイにカップを二つとシュガーポットを乗せて戻ってきた。
「クッキーか何かあればよかったのだけど、切れてるのを忘れてたわ。飲み物だけでいいかしら?」
「お気遣いなく」
 そう応じながら受け取ったカップに入っていたのはカフェ・オ・レだった。
「探から、貴方は大層な甘党だと聞いていたから、ただのコーヒーよりはこの方がいいかと思って。シュガーは自分の好みで入れて」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
 そう告げると、Katsukiはスプーンで山盛り5杯の砂糖を入れた。その目の前の光景にアネットの目が見開かれる。
「……本当に甘党なのね。それでその体型って、女の敵だわ!」
「頭脳労働すると甘いものが欲しくなるでしょう? そこで消費してるんですよ」
 微笑(わら)いながら答える彼に、アネットは砂糖を入れずにカップに口を付けた。
「で、早速だけど本題に入らせてもらっていいかしら?」
「どうぞ」
「貴方の最終的な狙いは、私たちICPOでも狙ってるあの・・組織ってことでいいのかしら?」
 アネットは真っ直ぐにKatsukiの目を見据えながら問い掛けた。
「ええ、そのとおりです。そのために私は貴方に接触しました。私一人では流石に無理があるので」
「確かにそのとおりね。そして悔しいことに、貴方からの情報がなければ、こちらとしても今までに潰したところも摘発は無理だったわ。
 詳しい事情を聞いても?」
 差し支えないかと尋ねてくるアネットに、Katsukiは軽く頷いた。
「お気付きかもしれませんが、私は貴方方ICPOが1412と名付けた者の2代目です。初代はあの組織の手によって殺されました」
「殺された? つまりあの組織は貴方の、いえ、初代の正体に気付いていたということね」
「数打てば当たる方式でしたがね」
「どういうこと?」
「9年程前、世界でも高名なマジシャンが何人か相次いで死んだり再起不能の負傷をしたりといった事があったでしょう。その中の一人が先代だったんです」
「成程。マジシャンというなら、私は直接は知らないけど、話に聞く手並みにも納得がいくわ」





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