La dernière scène 【2】




 その後、数度に渡って同じようなことが続いた。
 すなわち“1412”からアネット宛てにメールが入り、白馬探名義の荷物が届く。そしてその資料を元に現地警察が動いて犯罪組織の関係者を摘発していく。
 まるでトカゲの尻尾切りのような状態が続いているわけだが、それでも少しずつ目的とする犯罪組織の力を削ぎ落としていっているのは確実だ。
 ただ、いつまでそれが続くことになるのか。些かジレンマが出始めていたのは確かだった。
 そんな折りのとある夜、白馬から、彼── 1412── がアネットに会いたがっているという電話が自宅に入った。ICPOには内密にアネットだけにと。
 暫し考えた後、アネットはOKを出した。実を言えば、アネット自身も叶うなら1412に個人的にも一度会ってみたいと思いはじめていたのだ。
 白馬の話では、彼はアネットの顔を白馬が見せた写真で知っているから、待ち合わせの時間に指定の場所にいれば彼の方から接触するとのことだった。



 そして今、アネットは1412と向かい合っていた。
「……あなたが、1412?」
「Oui」
 想像していたよりも遥かに若い。多少変装しているのかもしれないが、それを別にしても若過ぎる気がする。
“Katsuki”と呼んでくれと言った彼は、どこか二人だけで話ができるところを聞いてきた。
「それなら私の姉夫婦の家がこの近くにあるわ。二人とも子供と一緒に1週間程旅行に出てるから、そこなら二人だけで話ができるけれど……そこまで私を信用していいの?」
「私は白馬氏を信用しています。だから白馬氏の信頼する貴方を信用する。それだけです」
「そう。じゃあその信用に応えられるよう努力するわ。付いてきて、こっちよ」
 アネットはそう返して歩き出し、彼もまたその後を付いて歩を進めた。





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