La dernière scène 【14】




── ……親父、終わったよ。
 ……パンドラは処分してもらったし、親父を殺させた奴も捕まった。
 ……母さんを一人残しちまうけど、もういいよな……?
 ……ごめん、母さん、寺井ちゃん、青子……。
 ……ごめん、紅子、ごめんな、白馬……。
 ……色々協力してもらったのに、戻れそうにないや……。ホント、ごめん……。



「駄目よ、黒羽君! 貴方を逝かせはしない!」
 日本の東都の某所にある小泉邸では、その屋敷の主人である小泉紅子が水晶球に向かって叫んでいた。
 その水晶球の中に映し出されているのは、遠いフランスの救急病院で手術中の、Katsukiこと黒羽快斗だった。
「私は言ったはずよ、必ず帰って来なさいと。赤の魔女の名に掛けて、黒羽君、決して貴方を逝かせはしない!! この日本で貴方を待っている貴方のお母さまのためにも、何も知らない中森さんのためにも、そして、誰よりも貴方を思っている彼のためにも、貴方は帰ってこなければいけないのよ!」
 赤の魔女── 小泉紅子── は黒羽快斗の命を救うべく、持てる魔力の全てを使って、その快斗の姿が映し出されている水晶球に向かって必死に呪文を唱え続ける。





【INDEX】 【BACK】 【NEXT】