La dernière scène 【13】




 応急処置を受けながら救急病院へ搬送されていくKatsukiの容態を気にしながらも、アネットは後始末に追われていた。
 奇襲作戦が成功したのか、取り零しは現在確認されている限りでは無く、全てはKatsukiの立てた計画どおりに事は運んだといっていい。肝心のKatsukiを除けば、双方共に軽傷者が数名出た程度で重傷者もいない。
 一時は取り逃したかと思われた首魁のジャベールも森の外れの小屋近くで発見し捕縛できた。そのジャベールは誰の言葉も耳に入っていないかのように、一人でぶつぶつと呟いている。
「あいつのせいだ、あのコソ泥のせいで全て水の泡だ。先代の時からずっと探してきたパンドラをバラバラに砕きやがって。あの宝石(いし)にどれ程の価値があったか知りもしないで……」
「ジャベール本人に間違いはないのよね?」
 アネットはジャベールを前にして再度確認した。
「持っていた物その他からしてまず本人に間違いありません。念のため、奴がいた周辺から、本人の銃で撃ったと思われる弾丸と薬莢、それから、青いガラスの破片を採集してあります」
「ガラスの破片? それがさっきから彼の言ってるパンドラとかいうのと関係あるのかしら」
 察するに、Katsukiはその青いガラスをジャベールの探していたパンドラとかいう物と思わせて粉々にし、ジャベールの望みを砕いた、といったところなのだろうかとあたりをつける。そしてそれに怒ったジャベールがKatsukiこと怪盗1412── 怪盗KID── に向かって銃を撃ったと。
 アネットは頭を一振りした。
 今考えても仕方のないことだと思ったからだ。それよりも目の前にやらねばならないことがある。
「他の国の支部はどうなっていて?」
「全て終了しています、先ほど最後の確認がとれました」
「なら、こちらももう一度漏らしたものがないか再確認の上、今日は撤収。研究所は封鎖して暫く誰も入れないようにして。明日、改めて鑑識を入れるわ」
 もともと大掛かりではあったものの、組織の本拠地であるだけにそれなりに時間を要すると思った今回の計画は、その殆どが当初の計画どおりで、確認作業まで入れて僅か3時間弱という短時間で済んだ。
 ある意味、拍子抜けの感を拭えないが、それだけKatsukiの得ていた情報とそれを元に立てられた計画が完璧だったということなのだろう。
 あとはKatsukiの容態だけが気になるアネットだった。





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