五人揃っての最初の戦いで、阿羅醐の圧倒的な力の前に敗れ去り、四散した。そしてそれぞれの縁りの地で、力を蓄えるための深い眠りに入った。
やがて仲間が次々と覚醒していく中で、最後まで眠っていたのが、天空だった。
仲間の呼ぶ声も知らず、彼は眠り続けていた。
それは母親の胎内で、何も知らずにただ胎外に出る日のことだけを夢見ていた、羊水に包まれていた頃の眠りに似ていた。宇宙という名の胎内で、新しく天空として生まれ出るために、彼は眠っているのだ。
誰かが、泣いている。
見知らぬ少女が一人、美しい単衣を身に纏い、腰の位置よりも尚長い緑の黒髪を持つ少女が、声も立てずに泣いている。
少女の頬を伝う涙を目にした時、彼は胸に痛みを覚えた。
彼は少女に声を掛けようとしたが、言葉は声にはならず、そしてまた少女に近寄ることも叶わずに、涙を流し続ける少女をただ黙って見つめていることしかできなかった。
胸が、痛む。胸が、苦しい。
泣き続ける少女を見ているのが辛い。けれど目を離すことはできなかった。せめて少女を見守っていたいと、そう思う。
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