我等、闇に棲む身なれば、もうずっと永いこと、光に恋しておりました。ずっと焦がれておりました。
闇の世界を抜け、光の下へ出ることを夢見て、気の遠くなるような時間を過ごして……。
けれどどんなに願っても、我等の力だけではそれは決して叶うことはなく、そうして我等は待つことにしたのです。我等をこの闇の世界より解き放ってくれる者の訪れを。
そんなことのできる者が本当に存在するのか、それすらも確証はないのに、それでも願わずには、祈らずにはいられなかったのです。
いつの日にか、我等を光の世界へと導いてくれる者── 。
待って待ち続けて、いつしか見たこともないその人間に、恋しておりました。
永い年月が経ち、待つことに疲れ、我等を救ってくれる者など存在せぬのだと、そう諦めようとした時に、突然に我等の前にあなたが現れたのです。
あなたは我等にとってはまさしく光そのもので、力強く輝いて、闇に慣れた我等にはあなたは眩しすぎ、けれどそれ故にまたあなたに惹かれ── 。
あなたは、我等の望み通り、我等を光の世界へ連れ出して下さった。そのために我等が支払った代償は、確かに大きなものではありましたけれど……。
それでも我等の願いは叶ったのです。
たとえほんの僅かの束の間のこととはいえ、我等はまぎれもなく、あれほどに焦がれた世界に立つことができたのです。
── その代償は、我等自身の命でありましたけれど、これ以上、一体何を望みましょうや。
ですから、どうか後悔などなさいますな。
永いこと焦がれ続けた光の下で、あなたと共に駆け、あなたと共に生きることができた── それだけで充分です。どうぞ、我等のために悔いたりなさいますな。
この身、二度と抜け出すことのできぬ闇の世界に再び堕ち、最早何のお役に立つことも叶いませぬが、せめて心だけは御身の元に。
我等の光に永遠の忠誠を、一輝さま── 。
── das Ende
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