届かぬ思い




「ブリタニアをぶっ壊す」
 俺がスザクの前でそう叫んだのは、そう誓ったのは、7年前の日本敗戦の時だった。
 それからその思いは少しも変わってはいない。今も変わらず心の中にある。
 スザクに再会できたら、きっと共に手を取り合えるだろうと、そう思っていた。
 だが現実は違った。
 再会したスザクは、名誉ブリタニア人に、ブリタニアの軍人に成り果てていた。
 それでもスザクをクロヴィス総督殺害容疑者として連行されているところから助けた時、きっと分かってくれるだろうと、仮面のテロリスト“ゼロ”としてだったが、誘いの手を差し伸べた。
 しかしスザクは明らかに無罪と分かっている彼を、容疑者として捕えたブリタニア軍に戻っていった。
 その後、戦いの中でブリタニアの、いや現行世界で唯一の第7世代KMF“白兜”ことランスロットのデヴァイサーがスザクと分かった後も説得を試みたが、彼の態度は変わらなかった。
 エリア11副総督であるユーフェミア第3皇女の口利きでアッシュフォードに編入してきたスザクに対して、俺は自分がゼロ肯定派であることを隠しはしなかった。
 けれどスザクは、何時も如何にユーフェミアが素晴らしいか、ゼロが間違っているか、自分の考えを、思いを押し付けるかのように繰り返すだけで、人の話を聞いてはいない。
 7年前の俺の心の底からの叫びを、俺に最も近い所で聞いていたはずなのに、その思いは届いてはいなかったのか。
 その思いを持つ俺が、ブリタニアを肯定すると、考えを翻すと思っているのか。
 祖国から、父から捨てられ、未だに皇室から隠れ住んでいる俺たちが、父から「死んでいる」と言われた俺が、そう簡単に思いを翻すと思っているのか。
 ならば日本人でありながら、日本最後の首相枢木ゲンブの息子でありながら、日本人であることを捨てたおまえの、人の話を聞こうとしないおまえの気持ちが俺に分からないように、おまえに俺の気持ちは分からない。
 スザク、叶うならおまえと共に手を取り合ってブリタニアを倒したいと思っていた俺の願いは、心の叫びは、もう今のおまえには届かない──

── The End




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