共 闘




 ゼロことルルーシュが共に戦うための組織として選んだのは、シンジュクゲットーの一角に本部を置く、紅月ナオト率いるグループだった。
 そもそものきっかけは、紅月グループが魔女── C.C.── の閉じ込められたカプセルを、ブリタニアの開発した「毒ガス」という触れ込みに、それを信じて強奪したのが最初だった。
 強奪するまでは上手くいったものの、その後ブリタニア軍に追い詰められていたのを助けたのだが、結果、偶然にも魔女を救い出し、ギアス── 絶対遵守── という不思議な力を与えられたルルーシュが、ブリタニアの軍人── ヴィレッタ・ヌゥ── からKMFを奪ったのを皮切りに、追い詰められた紅月グループにKMFを調達して危機から脱してやったのだ。
 アッシュフォード学園で同じクラスのカレン・シュタットフェルトがその中にいたことから、紅月グループと接触を図り、共にブリタニアと戦う同士となった。
 仮面で顔を隠し、全身をマントで覆い、“ゼロ”と名乗ったルルーシュを、胡散臭いような目で見る者がほとんどの中で、紅月ナオトだけが違った。
 助けられた、というのも大きかったのかもしれないが、ナオトはゼロのブリタニアに対する憎しみに嘘はないと見抜いた。
 そればかりか、その姿形を仮面とマントで覆い隠しているにもかかわらず、妹であるカレンと同年配くらいだろうことまで、口にはしなかったが見抜き、それとなくゼロに忠告すらしたのだ。
「君のような子供がすることではない。けれど君のその力がなければ、俺たちはシンジュクゲットーで全滅していた。本来なら君にもカレンにも大人しくしていろと言いたいところだが、君の頭脳に頼らなければならないのが現状だ。君は後方で指示をしてくれればいい。前線で戦うのは我々大人の役目だ」
 ゼロが用意したトレーラーに他の者が浮かれている中で、ナオトだけが冷静にゼロを見ていた。
 王自ら動かなければ下の者は付いてこない、それがルルーシュの信条だったが、ナオトの存在にそれは変わった。
 王であるルルーシュ── ゼロ── は動くことなく、指示を出すだけで、ナオトが他の者を引っ張っていってくれている。
 紅月ナオトという頼れる大人が一人いるということで、ルルーシュは、ゼロは変わった。ある意味、ナオトに傾倒したといってもいいかもしれない。それまでのルルーシュには頼れる大人がいなかったから。
 ナオトの存在があるゆえに、ブリタニアの第7世代KMFランスロット── 黒の騎士団では“白兜”と呼んでいるが── のデヴァイサーが幼馴染のスザクであったと知れた時も、更にはユーフェミアの選任騎士に任ぜられた時も、ショックではあったが、その失望は自分で思っていたほどには大きくはなかった。
 スザクを仲間に、との思いも、萎むように消えていった。
 スザクはスザクの道を見つけ、自分たちの道は交わうことなく違えたのだと、冷静に受け止めることができた。
 それもナオトの存在ゆえだろう。ナオトの存在は、ルルーシュにとって大きな支えとなっていた。スザクがいなくてもいいほどに。
 そして副総督であるユーフェミアがアッシュフォード学園で“行政特区日本”の設立を宣言した後、ルルーシュはナオトにだけ、仮面を外し自分の素性を話した。
 ナオトはゼロがブリタニア人であろうことは見当はつけていたらしい。しかし母国から捨てられたブリタニアの元皇子という立場には、流石に驚いていた。
 だが驚くだけではなく、ルルーシュが母国に対して反逆するのを、そして隠れなければ生きてこれなかったことにも理解を示してくれた。
 ルルーシュはここに本当に自分の理解者を得られたと感じた。
 他の者はルルーシュの立てる作戦、つまりは彼の頭脳に頼っているだけだが、ナオトは違う。僅か17歳というルルーシュを陰から支えてくれる。ルルーシュの苦悩を理解してくれている。
 行政特区式典の前、ルルーシュはナオトにだけ計画を、ギアスのことと共に打ち明けた。
 ユーフェミアに自分を撃たせる、それで特区をご破算にさせると。
 ナオトは危険すぎると反対したが、それ以外の方法は考えられなかった。
 大丈夫だ、心配することは何もないとナオトを説き伏せて、ゼロはユーフェミアの元に向かった。
 そこで何があったのか、ナオトは知らない。ルルーシュのギアスが暴走したことなど、ナオトに気付けはしなかった。
 ユーフェミアとブリタニア軍による日本人虐殺が始まり、それがイレブンの一斉蜂起、ブラック・リベリオンへと繋がった。
 途中、ナナリーが浚われたとの情報にルルーシュはトウキョウ租界を後にした。この時ばかりは気が動転して、ナオトに報告するのもしそびれた。その結果、ブラック・リベリオンは失敗に終わり、ナオトをはじめとして多くの団員たちがブリタニア軍に捕縛された。
 そしておよそ一年におよぶ雌伏の時を経て、ゼロは復活した。
 一年前に何があったのか、そしてこの一年何をしていたのか、他の団員たちの中にはゼロを責める者もいたが、ルルーシュとカレンから情報を聞いたナオトは理解を示した。
 そしてルルーシュは決意を新たにする。
 ナナリーのためだけではない、自分を理解し、支えてくれるナオトのためにも、エリア11を、必ずや日本を解放すると。
 これから、本当の意味でのナオトとの共闘が始まる。

── The End




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