「……死んだ……?」
唯一人、自分の手元に、傍にいてほしいと望んだ。
「あの子が、死んだ……?」
陰謀渦巻く宮廷の中で、唯一人、屈託なく自分に懐いてくれた異母弟が。
あの子は父上を、ブリタニアという国を憎んでいた。それでは、自分のこともまた憎んで死んでいったのだろうか?
ある時、異母妹のコーネリアが言った。
「異母兄上は変わられましたね」と。
「変わった? どこが変わったのかな。自分では変わったとは思わないが」
「変わられましたよ。以前はもっと自然に笑っていらした。現在も笑っていらっしゃいますが、心の籠っていない儀礼的な、表面的なものにしか、私には見えません」
何気にコーネリアも鋭いところがあるものだと思った。
「私の笑みに心が籠っていないとしたら、それは、それを見せる相手がいないからだろうね。君も大切な者を失ったら分かるよ。君の場合は、ユーフェミア、かな?」
「異母兄上の大切な……。あの子、ですか?」
シュナイゼルは否定も肯定もしなかった。ただ、
「死んだと聞かされた時に、きっと私の心の中の何かが壊れて、空洞になってしまったんだと思うよ」
そう答えるのみだった。
── The End
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