流転の果て 【おまけ オデュッセウス編】




 神聖ブリタニア帝国第99代皇帝オデュッセウスは、処理しても処理しても中々減らない書類の山に大きな溜息を吐いた。
 色々と制度改革を進め始めたばかりであるために、余計に処理する書類が増えているのだ。
 父親が政治を優秀な宰相であったシュナイゼルに投げていた気持ちがよく分かる今日この頃だ。しかし、だからといってダモクレスなどという巨大な天空要塞を造り、本国の帝都にフレイヤを打ち込もうとした異母弟(おとうと)を、そう簡単に謹慎処分から解放することはできない。そう考えてまた溜息を吐く。
 午後には数件の謁見の予定も入っている。
 オデュッセウスは一休憩とばかりに、執務机の一番上の引き出しに入っている、今は遠い、かつてのエリア11改めエリア日本州にいる異母弟── ルルーシュ── から先日届いた手紙をまた読み返していた。
 そして今になって気が付いたというように、その中の一文に目を留めた。
『高校を卒業したらジェレミアたちと一緒にそちらに戻ります』とある。
 高校を卒業したらあの優秀な異母弟が戻ってくる。
 ギアスという異能を手に入れたとはいえ、何も持たなかった身で黒の騎士団を作り上げ、遂には超合集国連合などというものを設立させて、ブリタニアに迫ったあの優秀な異母弟が帰ってくる!
 それを思ってオデュッセウスは考える。
 あの弟は自分などよりも遥かに優秀だ。他の皇族や貴族の中には母親が庶民出ということで侮る者がいるが、優秀であることは間違いない。
 そうだ! いっそのこと自分の養子として早々に第100代皇帝として皇帝の座を譲り、自分は後見と称して楽隠居してしまおう! それまでならばなんとか頑張れる。
 とてもいいことを考え付いたというように、オデュッセウスは鼻歌を交えながら書類の処理を再開した。その処理はそれまでよりも若干早くなったように見受けられた。



 その頃、日本州の州都トウキョウの一角にあるアッシュフォード学園のクラブハウス内にある自室で、ルルーシュが大きなくしゃみをしていた。

── The End




【INDEX】