続・実兄と異母兄




「おはよう、ルルーシュ。いつもそうだが、今日はいつにもまして早いね」
 突然掛けられた声に、ルルーシュは驚いて執務机から立ち上がって口を開いた。
「宰相閣下!! ご用件がおありでしたら、お呼びくださればいつでも私の方からお伺いしましたのに」
 ルルーシュの言葉を聞きながら、宰相であるシュナイゼルはルルーシュに近付いていった。
「特に用があったわけではないよ。ただ、もう君が来ていると聞いたのでね、挨拶に立ち寄らせてもらっただけだ。
 それにしても、何かあったかな、君がこんなにも早く来ているなんて」
「大したことではありません。ただ昨日片付けたもので、少し気になっているものがありましたので、もう一度確認しておこうと思いまして」
「君は本当に仕事熱心だね。おかげで、君が私の補佐についてからこちら、随分と楽をさせてもらえるようになった」
「お誉めのお言葉、ありがとうございます」
 それが本心からのものかどうかは今一つ判断がつきかねたが、とりあえず、ルルーシュは素直に額面通りに受け止めておくことにして、そう返した。
「ところで、母君のマリアンヌ様はお元気かい?」
「母ですか? ええ、相変わらず、元気が有り余っているようですよ。今朝も、朝食前から馬場に行っていましたから」
「そうか、それは良かったね」
「それより、閣下の方こそ、今日は随分とお早いようですが、それこそ何かございましたか?」
「いいや。ただナナリーから逃げて来ただけだよ。まだ彼女が起き出す前に、と思ってね」
 苦笑しながらシュナイゼルはそう答えた。
「妹君が何か?」
 シュナイゼルの妹ともなれば、自分にとっても異母妹(いもうと)だ。つまり、全くの無関係ではないから多少は気になる。
「この前の、ギネヴィア異母姉上(あねうえ)の夜会、私は後から君と一緒に行っただろう? 前々からそんな素振りはあったんだが、あれ以来、さらに私に対して煩く言い募るようになってきてね、いささか参ってるんだよ」
「言い募るって、何をでしょう?」
 確かに、先だって開かれた第1皇女ギネヴィア主催の夜会には、執務の関係で、シュナイゼルとルルーシュは開催時間からいささか遅れて、この宰相府から共に赴きはしたが、特にこれといったことはなかったはず、と思い出しながら、ルルーシュはシュナイゼルに問い返した。
「いや、何故実の妹の自分ではなく、ルルーシュお異母兄(にい)さまばっかり大切にするの、とね」
 そう告げるシュナイゼルの苦笑がますます深くなる。
「それはまた……」
 なんと言って返したらいいものやら、流石にルルーシュも言葉が思い浮かばずに口籠ってしまった。
「あれも、10以上も年の離れた私ではなく、君の妹に生まれていたらもっと良かったのだろうね」
「……申し訳ありませんが、お断りさせていただきます。弟だったらともかく、妹はごめんです」
 そう告げるルルーシュの脳裏には、人には言えない記憶がある。
 自分に嘘をついていた、私の敵だと、兄であるルルーシュが、彼女のためにどれ程の苦労をしてきたのか何も知らずにそう告げ、自国の帝都に大量破壊兵器を投下することを了承した、最愛だった、自分にとっては全てともいえた妹のナナリーと、おまえなど嫌いだと、殺してやるつもりだったと告げたのに、命を懸けて自分を救い出し、自分を嘘つきだからと言って、そうとう辛く苦しいだろうにもかかわらず、「俺の弟だ」との言葉に、自分の腕の中で、嬉しそうに微笑(わら)いながら息絶えた偽物だったはずの弟のロロ。どちらを取るかと問われたら、今のルルーシュにとっては、間違いなく、偽りで血の繋がりはなかったとはいえ、弟としてあったロロだ。
 それは自分の中にあるもう一つの記憶。思い出した当初は夢かとも思っていたが、そうではなく、もう一人の自分の実体験なのだと、今では知っている。最近、時折離宮に顔を出すようになった、C.C.という少女から話を聞かされたから。最初は信じられなかった。だが、並行宇宙の話は聞いたこともあり、あながち夢物語とも言い切ることは出来ず、今のルルーシュはあれもまた自分── もう一人のだが── の身に起きたことなのだと、そう今は理解している。
 だからその記憶がある今、ルルーシュがナナリーの手を取ることはありえない。取りたいと思うのは、そしていてくれたらと思うのは、その時の弟だったロロだけなのだ。
「それに、弟妹ならもとよりたくさんいます。その意味では、ナナリー皇女もそのうちの一人ではありますが」
「そういえば、聞くところによると公務の入っていない週末は、君の宮では異母弟妹たちが集まってお茶会を開いているそうだね。一度、私もよばれてみたいものだが」
「申し訳ありませんが、弟妹たちのために開いているので、兄姉方にはご遠慮いただいております」
「残念だね。だが、少し不思議なのが、ナナリーが君のところのそのお茶会に出席したという話を聞いた覚えがないのだが」
「どうやら、閣下の妹君には私は避けられているようですので」
 今度はルルーシュが苦笑を漏らした。
 おそらく、ナナリーにも自分と同じように記憶があるのだろう、だから自分を避けるのだ。ルルーシュはそう思っている。
「ふむ。けれど君の妹としてあったら、さぞやナナリーは他の弟妹たちから嫉妬の嵐だっただろうね。だが本当にそう思うよ。ナナリーが君の妹だったら、君は誰よりもナナリーを慈しんで育てただろうとね。そう、たとえナナリーが目が見えず、足も動かぬ身体障害を負っていたとしても。いや、ならばなおさらに」
「閣下……?」
 シュナイゼルの言葉は、ルルーシュの持つもう一つの記憶の中のナナリーの姿そのままだ。もしかして彼にも記憶があるのか。告げられた言葉に、思わず疑わざるを得ないルルーシュだった。
 訝しげに自分を見上げるルルーシュに、シュナイゼルは悪戯でも仕掛けるかのようにルルーシュの耳元に唇を寄せて、囁くように告げた。
「実は私にはもう一つ、別の記憶があってね。その中では本当にナナリーは君の妹で、幼い頃にマリアンヌ様がテロリストによって暗殺され、それに巻き込まれた彼女は身体障害を負った。そして君たちはこの国を出され、日本に人質として送られた。その後、我が国は君たちの存在を無視して日本に侵攻し、そして君たちはそこで亡くなった。ということに、君がアッシュフォードにさせて、君たちはブリタニアのエリアとなった日本で生きていた」
「!!」
 ルルーシュの耳元から唇を離して顔を上げたシュナイゼルを、ルルーシュは思わず唖然とした顔をして見やってしまった。
 その様子に、シュナイゼルは察する。ルルーシュにも記憶があるのだと。
「どうやら君にも同じ記憶があるようだね。ということは、あれはあながち夢などではない、ということかな」
「……異母兄上(あにうえ)……」
 ここにきて、ルルーシュは初めてシュナイゼルを「宰相閣下」ではなく、異母兄(あに)として呼んでしまった。
「安心しなさい、今のここはあの時とは違う。マリアンヌ様は息災だし、そのお子は君というとても優秀な皇子だけ。そしてナナリーは何故か私の年の離れた実妹だ。あちらでは君に苦労を掛けさせてしまった分、ここでは私がその苦労を背負えということらしい。とはいえ、私としては我儘で理想主義なだけで、自分からは何もしようとしない、考えることもしない、そんな愚かな妹は妹とは認識出来なくてね。可愛いなどとは到底思えない。だから放っているのだよ、あの娘が何を言おうと、何をしようと。だから君も今までのままでいいよ。たぶんそれが一番問題がないだろうから」
 そう告げて、呆然としたようにシュナイゼルの言葉を聞いているルルーシュの手を取り、さらに言葉を紡ぐ。
「そしてね、あの時は君一人に苦労をさせてあんな真似をさせてしまったから、その分も、ここでは私は君を大切にしたい。もっとも、今は別の意味で苦労を掛けさせてしまっているが、それは、それだけ君が優秀なのだから仕方ないと諦めて貰うしかないね。けれどそれ以外では、私は君のことは妹のナナリーよりも大切に思っているし、幸せになってもらいたいと、心底思っているのだよ。記憶があるとなればそう簡単に信じてはもらえないかもしれないが」
 そう言って、シュナイゼルは空いたもう一方の手でルルーシュの前髪を払うと、その秀でた額に軽く口づけを落とした。
「異母兄上……」
 今のシュナイゼルの表情は、幼い頃から見てきたとても優しさに満ち溢れたもので、かつてのもう一つの記憶の中の作り物の笑顔ではなく、愛情に溢れたものだった。
 そうしてルルーシュは思い出す。ここでのシュナイゼルはもう一つの記憶の中の彼と違って、自分が幼い頃から、本当にとても優しく、色々と教え導いてくれていたことを。そう、かつて自分がナナリーに向けていた愛情のように、いや、もしかしたらそれ以上のものをもって。
「明日は休みだ。今日は早く出てきた分、仕事にケリがついたら早めに上がりなさい。そうしたら弟妹たちとのお茶会のための準備にゆっくり時間がとれるだろう? そしていつか、その弟妹たちは抜きにして、たまには私とゆっくりお茶の時間をとってもらえると嬉しいね」
「か、閣下とは、よくこの宰相府でお茶や夕食をご一緒していると思いましたが」
 シュナイゼルの言葉に、幾分頬を赤らめながら、ルルーシュは反論するかのように返した。
「それは仕事の延長線上だろう。その中で交わされる話題は殆ど仕事関連のことばかりだ。それを全く抜きにして、プライベートで、とお願いしているんだよ。弟妹たちよりも、時には私のことも考えてくれないかな?」
「か、考えておきます」
 そう告げてシュナイゼルから距離をとろうとするルルーシュをあえて止めず、シュナイゼルは「楽しみに待っているよ」と告げて、ルルーシュの執務室を後にした。
「……ったくあの人は……」
 ルルーシュは上気したままの頬に手をやってから、気を落ち着かせるように大きく深呼吸して椅子に座りなおし、改めて遣り掛けだった書類に目を通し始めた。



 その頃、第5皇女カリーヌの離宮では、明日開かれるルルーシュのお茶会に出席予定の者たちが何人か集まっていた。
「明日は何人くらい集まるのかしら?」
「七、八人位にはなりそうみたい」
「でも、ルルーシュお異母兄(にい)さまもよくしてくださるわよね。ご自分だって、宰相補佐となってからはとてもお忙しくていらっしゃるのに、それを表に出さずに以前と変わらずに、だもの」
 カリーヌの言葉に、他の者たちも、同感、というように頷く。
「それで、ナナリーはどうなの? 私が知る限り、一度も顔を出したことないはずだけど」
「来ないんじゃない? 多分、だけど」
「そうよね。だって彼女、ルルーシュお異母兄さまを避けてる様子があるし」
「けど僕、耳にしちゃったんだよね」
「何を?」
 リ家の末子であるクリスチャンの声に、そこにいた者たちの視線が一斉に集まる。
「うん、ナナリーが、シュナイゼル異母兄上じゃなくてルルーシュ異母兄上の妹だったらよかったのに、って言ってたの」
「あ、それ、私も聞いたことあるわ。自分は本当ならルルーシュお異母兄さまの妹のはずだったのに、って」
「何、それ。なのにあの態度なの?」
 カリーヌをはじめ、そこにいる者たちの眉が揃って寄せられる。それは明らかにナナリーに対する不快感からだ。
「自分からルルーシュお異母兄さまを避けていながら、そんなこと言ってるの?」
「なんかすっごい不愉快なんだけど」
「私も」
「僕も」
「だってルルーシュお異母兄さま、最初はナナリーのことだって何度か招待しようとしてたでしょう? なのにそれを断り続けて。だからルルーシュお異母兄さまは、自分はナナリーに嫌われてるって、呼ぶのやめたんじゃなかったかしら?」
「それを今になってそんなことを言ってるなんて、なんていうの、腹が立つ?」
「ああ、それそれ。なんか自分勝手よね」
 カリーヌの言葉に他の者たちも賛同した。
「それってさ、シュナイゼル異母兄上から冷たくされてるからじゃないかな」
「そうなの?」
 クリスチャンの言葉に、他の者が確認するように問い返す。
「耳に挟んだ噂程度なんだけどね。なんか、シュナイゼル異母兄上、ナナリーのことを嫌ってるらしいよ。だって彼女、あのシュナイゼル異母兄上の妹とは思えないくらい、こう言っては悪いけど、馬鹿じゃない?」
「あー、なんとなく分かる、かなぁ。だって、シュナイゼルお異母兄さまって、馬鹿な人、嫌いじゃない? 逆に頭のいい人なら、多少変わってても構わない、ってところ、おありよね」
「言えてる。だって、副官はあのマルディーニ伯だし、友人はマッドサイエンティストの呼び名も高いアスプルンド伯だし」
「そんなシュナイゼルお異母兄さまからしたら、優秀この上ない、今ではご自分の補佐であるルルーシュお異母兄さまの方が、実妹のナナリーよりも大切よねぇ」
 そう告げたカリーヌの脳裏には、先日のギネヴィア主催の夜会に、公務の関係から、ルルーシュをエスコートするかのように共に遅れてやって来た時の、二人の様子が(よぎ)っている。
「あ、カリーヌ、貴方、この前のギネヴィアお異母姉(ねえ)さまの夜会の時の、シュナイゼルお異母兄さまとルルーシュお異母兄さまのことを思い出してるでしょう?」
「あら、分かっちゃった?」
 一人の指摘に、カリーヌは否定するどころか肯定してのけた。
「分かるよ。僕もそうだから」
「私も」
「つまり、皆、考えることは一緒ってこと?」
「そういうことね」
「だね」
 その場にいた一同が頷く。
「でもしょうがないわよね。あの時のシュナイゼルお異母兄さまとルルーシュお異母兄さま、男性同士だっていうのに、そんなこと関係ないってくらいにしっかりしっくり落ち着いていて、とてもお似合いで、まるで一枚の絵画のようだったもの」
 ほう、と今またその時の様子を思い出したのか、息を吐き出しながら半ばうっとり、といった感じでカリーヌが告げる。
「それにシュナイゼルお異母兄さまのルルーシュお異母兄さまを見る目、ナナリーを見る時とは雲泥の差。滅多に目にすることないけど、ナナリーを見る時って、すっごく侮蔑した感じなんだけど、逆にルルーシュお異母兄さまを見る時は、とても優しそうで慈しんでる感じが見受けられるもの」
「お仕事の話をなさってる時は、お二人ともとても厳しい表情をされてるけど」
「それは当然じゃない? この国の政に関わってくるんだから」
「皇帝陛下であるお父さまを除けば、宰相という地位にあるシュナイゼルお異母兄さまと、その補佐を務めているルルーシュお異母兄さま、つまりはこの国の中枢を担ってらっしゃるお二人と、あの頭にお花が咲いたような馬鹿なナナリーじゃ、現在の状況は当然のことじゃない?」
「頭にお花が咲いた、ってことじゃ、うちのユーフェミア姉上も同様だと僕は思っちゃうんだけどね」
「あえて触れないようにしてあげてたのに、自分で言っちゃうのね、貴方」
「あ、そうだったの? 気を遣ってくれてたんだ、ごめん」
 言われたことに対して、そうだったのかと、いまさらながらに気が付きました、とばかりにクリスチャンは謝罪の言葉を告げた。
「ユーフェミアお異母姉さまの場合はナナリーとは逆ね。コーネリアお異母姉さまに溺愛されすぎて何も分かっていない。自分から知ろうともしてないって感じ」
「自分の実の姉のことながら、時々とても恥ずかしくなるよ。それもあってか、母上は今ではもうコーネリア姉上の関係で、ユーフェミア姉上に対しては何も言えないような雰囲気になっちゃってて、その分、僕に厳しくなってるから。ある意味、いい反面教師?」
 クリスチャンの言葉に周囲が笑いに包まれる。
「そういえばそのユーフェミアお異母姉さまも、ルルーシュお異母兄さまのお茶会に来られたこと、ない、わよね?」
「うん。コーネリア姉上は、ルルーシュ異母兄上の母君であるマリアンヌ様のことは、軍人としては尊敬してるみたいだけど、それとこれとは別、らしいよ。庶民出のマリアンヌ様を母に持つルルーシュ異母兄上には近付くなって、そうユーフェミア姉上に言ってるのを聞いたの、一度二度じゃないから。ユーフェミア姉上自身は参加したがってるみたいだけど」
「その割に貴方はよく参加してるじゃない?」
「僕はコーネリア姉上からしたら、ユーフェミア姉上と違ってどうでもいいみたいだから。逆に、母上は最初はいい顔してなかったけど、ルルーシュ異母兄上がとても優秀だってことに加えて、シュナイゼル異母兄上からよく思われて、何て言うのかな、可愛がられてる、ってのも変だけど、そんなことや、そのシュナイゼル異母兄上の補佐に任じられたことでさらに拍車がかかったみたいで、今じゃ、きっといい影響を受けることが出来るでしょうから是非参加してきなさい、って感じになってる」
「あ、それ、うちも同じだ」
「私のところもよ」
「以前はあんなに忌避してたのに、ルルーシュお異母兄さまが宰相補佐に任命された途端にこうも変わるか、って感じだったわ。以前からお母さまの意見を無視して、ルルーシュお異母兄さま主催のお茶会に出席してたことに対して、先見の明があった、なんて今になって私を誉めるの」
「何処も似たようなものなのねぇ」
「ルルーシュ異母兄上が優秀なのも、弟妹である僕たちにとてもお優しい方なのも、昔からちっとも変わってないのにね」
「ほんとにね」
「大人って、ホント、地位とかに弱いわよね。自分たちは名誉ある貴族の出で、選ばれた者。でもマリアンヌ様は庶民出、そしてその血を引いてるってだけで、同じ皇族でありながらルルーシュお異母兄さまのことも見下してたのに」
「言えてる」
 ふと、カリーヌが壁にかかっている時計を見て慌てた。
「あら、もうこんな時間!? 悪いけど、今日はそろそろお開きにしましょう。今日はこれからお客さまがいらっしゃるの」
「分かったわ。まだ話足りない気もするけど、本番は明日だものね」
「そうだね。じゃあ、今日はこの辺で、ってことで」
「ええ、また明日、ルルーシュお異母兄さまのところで、ね」
 互いに口々にそう言って、カリーヌを残し、他の者たちはそれぞれ自分の離宮へと帰っていった。



 翌日の午後──
 ルルーシュの住まうアリエス離宮では、前日、カリーヌのところに集まっていた者たちに数名加えた人数が集まって、ルルーシュをホストに、テラスで楽しいお茶会が繰り広げられ、ルルーシュの母のマリアンヌは、部屋の中から微笑ましそうにその様子を見ているという、アリエス離宮にとってはいつもの週末が展開されていた。そしてそこに、同じ異母妹でありながら、シュナイゼルの妹であるナナリーの姿はない。コーネリアの妹であるユーフェミアも。けれどそれもまたいつものこと。
 個々の確執、思惑はそれなりにあれど、現在のブリタニア皇宮は概ね平穏である。

── The End




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